■日本における認知症の現状
みなさんは【2025年問題】という言葉を聞いたことはあるでしょうか?2025年にすべての団塊の世代が後期高齢者となり、いよいよ日本が超高齢社会へと突入することを表しています。
そのような社会の中で心配なことの1つが、『認知症』ではないでしょうか。2025年の認知症患者数は471万人(推定)と言われており、認知症予備軍ともいわれる軽度認知障害も合わせると高齢者のおよそ3人に1人は認知症のおそれがあることになります。
■認知症を予防するために
非常に身近な認知症ですが、特効薬はありません。しかし、日常のちょっとした活動の中に実は認知症予防法が隠れています。
その活動とは、①食事 ②家事や散歩 ③人との会話 です。
なぜこの3つが有効なのか?答えは、これらの活動を行うと脳から「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン・ドーパミン・オキシトシンが出るからです。
【セロトニン】
心の安定を保つホルモンであり、日光浴やリズム運動で増加していきます。一定のリズムで動作を行うことが重要で、5分ほどで分泌され20分でピークに達すると言われています。歩く・噛む・深呼吸をするなど、運動のリズムを意識しながら行うことが大切です。
やる気を促すホルモンであり、達成感を得る・好きなことをする・頑張った後のご褒美(報酬)などで増加します。家事は達成感を得やすく、リズム運動になる動作(食材を切る・床を拭くなど)も多いため特に効果的な活動です。
愛情ホルモンとも呼ばれ、親しい人との交流で増加します。セロトニンの分泌を促す効果もあり、親しい人と行う食事や運動はより一層これらのホルモンの分泌を促します。
脳を活性化させる「幸せホルモン」は、認知症予防に効果があるといわれています。ホルモンの特性を上手に利用して暮らしの中に取り入れることで、今日からでも認知症予防の取り組みが始められるのです。
リハビリテーション室 作業療法士 今野 菜美子