ご挨拶
当院は地域支援病院(本邦第一号認定)であることから、新患は診療所や他病院からの紹介および救急外来受診者が殆どです。呼吸器感染症、肺腫瘍、種々のびまん性肺疾患、気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群など、第一線の臨床医が遭遇しやすく、かつ診断や治療に苦慮する疾患の治療に専念しております。疾患の難治化,重症化を防ぐことためには早期診断,早期治療が大切であり、医師会の先生方との連携に重きを置いております。
院内他科からコンサルテーションを求められることも多く、特殊な肺感染性、間質性肺炎、低肺機能による手術困難症例への治療介入、化学療法に伴う肺障害、難治性院内肺炎、人工呼吸器管理下での気管支鏡検査、術前術後の定期CT検査で見つかる小さな肺癌などにも対応しています。患者さんには超高齢者も多いですが、熟練した看護師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーの積極的介入に支えられ、令和5年度の平均在院日数は13.8日に抑えられています。また、当院は日本呼吸器学会認定施設として、呼吸器専門医をめざす医師の教育にもあたっております。
対象疾患
気管支喘息
自分の病状を過小評価しており、予想外の発作で救急搬送される患者さんがまだまだ多いように思われます。吸入ステロイド治療の普 及は、残念ながらまだ十分ではありません。入院後は早急に症状の改善を図り、医師・看護師・薬剤師からそれぞれの立場で疾患についての説明と服薬指導を致しますので、その後の管理も良好です。
慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)
人口の高齢化と高い喫煙率を背景に、同疾患患者が増加しております。日頃の外来通院時には軽い労作時息切れの訴え程度でも、気道感染からあっさりと急性呼吸不全に陥り、救急搬送される患者さんが少なからずいらっしゃいます。こうした事態の回避には、まず同疾患の早期診断が重要です。診断には肺機能検査が必須ですが、検査手技には熟練を要します。さらに、病態の把握には胸部CT検査が有用であり、右心不全の合併など心機能検査を要することも少なくありません。喫煙歴があり、慢性の咳嗽、喀痰、息切れを有する患者さんに、上記一連の検査を施行し、ガイドラインに則った長期管理薬を導入しています。
肺癌
現在、日本人の死因第一位は悪性腫瘍であり、部位別でみると肺癌がトップです。かなり進行するまで無症状のことが多く、高血圧など他疾患の通院患者さんの定期検査で、胸部異常陰影として指摘されることが多いようです。根治を目指すためには手術可能な病期での治療開始が求められ、胸部CT検査、喀痰細胞診、気管支鏡検査、PET検査等で速やかに診断をつける必要があります。
当院に呼吸器外科はありませんが、優れた他院呼吸器外科との連携で、遅滞ない手術が可能となっております。手術不能症例については、放射線化学療法ないし放射線療法、化学療法、あるいは緩和療法となります。放射線を用いる治療は他院に依頼しますが、その後の維持療法は当院で行います。化学療法の進歩は目覚ましく、当院でもガイドラインに基づいた分子標的薬や免疫チェックポイント薬による治療を積極的に取り入れており、長期生存例が多数見られるようになりました。
緩和療法についても病院を挙げて取り組んでおり、入院治療が必要となった患者さんには、新病棟最上階の緩和病棟を提供しています。ここは大きな窓から季節ごとに美しい緑地帯を見下ろせ、遠く水平線も眺望できる癒しの空間です。
肺炎
抗菌薬治療の進歩で若年者の入院は殆ど見られなくなりましたが、高齢者肺炎は増え続けております。殆どが脳神経機能低下による就寝中の不顕性誤嚥に起因すると考えられ、65歳以上の肺炎入院患者の約8割が誤嚥性肺炎と推計されています。様々な基礎疾患を有することから重症化しやすく、85歳以上の高齢者肺炎死亡率は若年成人の1000倍以上と報告されています。
ご高齢の方が肺炎で入院すると、日常生活動作(ADL)が低下し、筋力低下など心身の機能が低下します。これが廃用症候群で、認知機能の低下も生じます。糖尿病や心臓病などの持病が悪化することもあります。寝たきりになったり、嚥下機能低下につながり、さらに肺炎を繰り返しやすくなります。こうした負のスパイラルに陥りやすいことが高齢者肺炎の大きな問題であり、治療早期からのリハビリ開始と基礎疾患の治療開始ないし強化が必要です。
当院では、治療開始とともに口腔嚥下リハビリチーム、褥瘡管理チーム、栄養サポートチームが介入し、早期から理学療法士によるリハビリが開始されます。また診療科間の密な連携のもと、基礎疾患の治療にも力を入れております。
以前と比べて広域抗菌薬の使用量は著減し、耐性菌で苦労することも少なくなりました。昔よく悩まされた入院中の肺炎再発は、今は殆ど見られません。治療は比較的短期間で終了しますが、社会的理由での退院困難事例が多いのが課題です。
COPD
人口の高齢化と過去の高い喫煙歴を背景に、COPD患者さんが増加しています。日頃の外来通院時には軽い労作時息切れの訴え程度でも、気道感染からあっさりと急性呼吸不全に陥り、救急搬送される患者さんが少なからずいらっしゃいます。肺炎での入院患者さんに驚くほど高率に肺気腫を認めますが、その大部分はCOPDを指摘されたことがありません。
特徴的な症状は労作時息切れですが、長年かけて緩徐に進行する疾患であるため、“息切れが生じない程度の運動しかしない”ことから異常を自覚しないので、診断が遅れることが多いようです。高血圧や糖尿病、脂質異常症などで通院中の患者さんの2割程度はCOPDを有しており、70歳以上で喫煙歴を有する患者さんでは約4割にみられるとの報告もあります。COPD患者は軽症でも日常活動性が低下しており、フレイルやサルコペニアに進行し、健康寿命を短くします。
診断には肺機能検査が必須ですが、検査には時間がかかり、手技には熟練を要します。当院では高い精度管理で肺機能検査を提供しています。病態の把握には胸部CT検査が有用であり、右心不全の合併など心機能検査を要することも少なくありません。喫煙歴があり、息切れや慢性の咳嗽を有する患者さんに、上記一連の検査を施行し、ガイドラインに則った長期管理薬を導入しています。
気管支喘息
自分の病状を過小評価しており、予想外の発作で救急搬送される患者さんがまだまだ多いように思われます。吸入ステロイド治療の普及は、残念ながらまだ十分ではありません。また吸入ステロイドを処方しても十分効果が見られないときは、診断の見直しと吸入手技の再指導が必要です。
コントロール不良な患者さんに対して、早急に症状の改善を図り、医師・看護師・薬剤師からそれぞれの立場で疾患についての説明と服薬指導を致しますので、その後の管理も良好です。
呼吸器内科 主要疾患 件数推移(過去5年間)グラフ
令和5年度の呼吸器内科の平均在院日数は13.8日となります。
呼吸器内科 主要疾患 件数推移 (過去5年間)
年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
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肺炎 | 316 | 149 | 125 | 136 | 195 |
誤嚥性肺炎 | 170 | 150 | 140 | 126 | 166 |
肺がん | 164 | 75 | 101 | 81 | 54 |
喘息 | 37 | 30 | 18 | 16 | 23 |
間質性肺炎 | 50 | 74 | 71 | 63 | 42 |
COPD | 37 | 17 | 10 | 20 | 27 |
米地 敦 (よねち あつし)
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役職
呼吸器内科主任部長
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卒業年
H12年卒
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専門分野
肺癌
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認定医
専門医臨床研修指導医
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ひとこと
患者さん中心の医療を大切にしていきたいと考えています。
進藤 百合子 (しんどう ゆりこ)
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役職
緩和医療科部長・呼吸器内科部長
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卒業年
S52年卒
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専門分野
呼吸器疾患、緩和ケア
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認定医
専門医日本内科学会 認定医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
日本医師会認定 産業医
全日本病院協会指導医養成講習会修了
緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会修了
日本緩和医療学会認定医 -
ひとこと
病気とは突然に起こるものではないと思います。
病気の人の背影や心の状態にも眼を向け診療していきたいと思っております。
田島 直美 (たしま なおみ)
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役職
呼吸器内科部長
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卒業年
H4年卒
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専門分野
呼吸器内科、アレルギー内科
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認定医
専門医日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
難病指定医
身体障碍者福祉法指定医
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ひとこと
地域の皆様に最適な医療を提供していきたいと思っております。
丹野 篤 (たんの あつし)
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役職
内科医長
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卒業年
H24年卒
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専門分野
呼吸器疾患
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認定医
専門医日本内科学会 認定内科医
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ひとこと
患者様に信頼される医療を提供できるよう努めて参ります。
医師体制表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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米地 敦 |
進藤 百合子 田島 直美 洞口 亮 (第2,4) |
米地 敦 |
進藤 百合子 |
休診・代診情報
休診・代診情報はありません。